3月25日に国内承認された新しい緑内障手術、iStent(アイステント)ですが、
当院では開始後3ヶ月で13例を執刀しました。(出張の非常勤手術は除く)
まだ術後短期の成績ですが、今のところ13例全例が手術前と比べて眼圧が下がっていて、約半数は緑内障点眼薬を全く中止した状態でしばらく様子をみられる状態になっています。
初回の患者様ではistentの挿入手技に5分程かかっていましたが、10例くらい経験すると2分もあれば挿入可能になります。非常に低侵襲で将来性のある有望な手術です。
今日はアメリカの会社から取材があり、英語が苦手な僕はドキドキしていましたが日本語の対応で大丈夫でした。
今日はistentの一般的な説明を記載してみます。
緑内障30 istent? (アイステント)
最新の白内障併用緑内障手術
istentを簡単にまとめると、
軽症の緑内障の人が、白内障手術を受ける時に、同時にistentを隅角に挿入すると、術後に眼圧が少し下がることが多く、点眼薬が減ったり不要になるケースがある。数分の治療で費用も保険診療に含まれる(多くの人は両眼の白内障手術と自己負担が変わらない)。
という手術です。
*緑内障の末期の患者さんが、失明するかしないかという時に検討をする手術ではありません。(そういうケースは多くはトラベクレクトミーという術式が選択されます。)
専門的ですが、手術を受けられる人の適応を記載します。
?早期中期の開放隅角緑内障患者で白内障を合併している人
(現時点では白内障手術を受ける時の同時手術しか、保険が通りません。緑内障が進行期・末期の人は適応外です。)
?20歳以上の成人 (小児は受けられません)
?以前に目の中の手術を受けた人は適応外。
?開放隅角のみ適応。
(隅角に癒着など、特殊な病態があると受けられません。)
?その他、角膜や水晶体の状態により受けられない人がいます。
こちらは眼科医側の問題ですが、資格申請に最低以下が必要です。
A. 白内障手術の経験が100件以上(僕は約20000件)
B. 緑内障手術(レーザー治療除く)の経験が10 件以上(僕は約1000件)
具体的な手術手技は次回記載します。
初めまして、ブログ拝見しました。
56才女性。人間ドックで視神経乳頭陥凹を指摘され、3年ほど経過観察した後、3年前から点眼しています。眼圧は治療前10~12ぐらい、点眼後もあまり下がりません。SLTもやりました。
点眼薬はアイファガン(半年ぐらいでアレルギーのため使えず)→トルソプト→コソプト
この一年で少し悪くなったので、グラナテック追加。
これは何とか眼圧が一桁まで下がる点眼薬に変えてもらうしか治療法はないという感じでしょうか。ブログを拝見してiStentに興味をもったのですが、白内障はないので、これだけ自費でやるとか可能でしょうか。
詳細の説明は難しい話になってしまうのですが、おそらく、istentも効果が乏しい病態と思います。自費で行うこと自体は可能ですが、お勧めしません。
日本でも世界でも、点眼薬の第一選択薬として最も選ばれるのは、プロスタグランジン製剤です。(キサラタン、トラバタンズ、タプロス、ルミガン)
多くの症例ではもっとも眼圧下降効果が高く、長期成績も良好です。まず最初に使うべき状態と考えますが、なぜだか使用していらっしゃらないようですが、何か理由があるのでしょうか??
ご返信ありがとうございます。
私の処方されている点眼薬が第1選択の点眼薬ではないことは承知しておりますが、理由はわかりません。
非常にこみあっていて二時間待ちぐらいのクリニックなので、相談等がしづらい雰囲気です。でも、次回眼圧が下がっていなかったら聞いてみます。
ちなみに、この医師は緑内障専門ではないのですが、紹介状をいただいて緑内障専門医で診ていただくほうが望ましいでしょうか。
ちなみに、10年ほど前に両眼 網膜裂孔の既往があり、ここはその時からかかっています。
そもそも緑内障専門医という資格は存在しませんし、
緑内障の手術もしたことがないのに緑内障専門医を名乗っておられる先生が沢山いらっしゃるので、
何とも言えませんが、得意かどうかは個人差があるとは思います。
一般の方が判断するのは難しいでしょうけど。