結膜下出血

今日も網膜剥離の紹介を頂きました。筑西市の73歳女性の患者様です。
当院では手術後に2ヶ月程度は、もとの眼科様と交互に診察を行い、その後にもとの眼科様にお戻り頂くようにしています。
最近は、かなり遠くからも紹介を頂くようになったのですが、通院の距離が長くなってしまい、患者様には負担になりますが、ご協力を頂ければと思います。

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 4件
・眼瞼下垂症手術 2件
・翼状片手術 1件
・緑内障手術 2件
・網膜硝子体手術 3件(網膜剥離 2件、黄斑前膜 1件)
今日は、いろいろな手術がまんべんなくあって楽しかったです。
みなさん問題なく終わっています。

結膜下出血(けつまくかしゅっけつ)
外来をしていると、
「朝起きたら、目が真っ赤になってた!」
「鏡をみたら、真っ赤でびっくりして・・・。」
という、患者様が数日に1名は必ずいらっしゃいます。
目が赤くなる病気としては、結膜炎(けつまくえん)と呼ばれる、バイキンが感染しておこる病気が有名です。ゴロゴロしたり、メヤニがでたり、充血をして目が赤くなる病気です。バイキンをやっつけるために、血流が増加して、血液の中の白血球という細胞が頑張ることで、血管が太くなって、目が赤く見えるようになります。

本日いらした結膜下出血の患者様の写真です。

赤くなっている部分は、血管の位置とは関係なく、ベタッと面状に赤くなっています。これは、結膜という目の表面を覆う粘膜の血管が、なんらかの原因で切れて、出血が結膜の下に溜まっている状態です。
一見、目がとても赤くて、みなさんビックリして病院に来るのですが、実は手足にできる「アザ」と同じ程度のレベルの病気です。
手足をぶつけると、皮膚の血管が切れて、皮膚の下に血がたまります。この状態を内出血とか、皮下出血(ひかしゅっけつ)、または「アザ」と呼びます。結膜下出血は、この皮下出血と全く同じ病態です。
皮膚は厚みがありますので、下に赤い血がたまると紫色に見えますが、結膜はうすく、半透明なために、赤みが強く目立つのです。

結膜の血管が切れてしまう原因は、ごみが入ったり、ちょっとぶつけたり、寝ている時にこすった、ドライアイ、逆さまつげなど、簡単な原因のことがほとんどです。
子供の軟らかい血管に比べると、年齢に伴って動脈硬化が起こったり、血圧の変動や、血液をサラサラにする飲み薬を飲んでいたりと、一般的には高齢な方ほど、良く出血するようになります。
80代、90代になると、手などにアザがあることが増えると思います。

失明することもありませんし、病気としては大したことないのですが、とにかく見た目が悪いので、患者様からは、「治療法、どうやったら早く治るか?」という事を、よく質問されます。

そして、「ありません」と答えるので、いつもがっかりされます。
アザに塗ったら早く治るという薬はないですよね??
アザと同じで、時間がたてば勝手にキレイに戻るのです。
結膜下出血自体では、治療は必要ありません。
温めることで、出血の吸収が早まるという先生もいますが、あまり大きな効果はないようです。
手足のアザを押すと痛いように、血液が溜まって、結膜が少し膨らんでいますので、まばたきをした時に、こすれて、少しゴロゴロ痛む場合があり、その場合は痛み止めのような目薬を処方しますが、決して早く治るわけではありません。

以上を説明するのですが、日本人って、お薬が大好きな民族なので、とにかくみなさん薬を欲しがります。痛みはなくても、一応薬が欲しいとおっしゃるのですよね・・・。なんででしょう??

結膜下出血を起こした場合に気を付けるのは、以下のようなことです。
・一度切れた血管は、しばらくは弱くて再出血をしやすいので、さわったり、こすったりしないこと。
・アルコールや激しい運動、長い入浴などは、血が止まりにくいので、数日は控えること
・あまりに繰り返す場合には、白血病などの血が出やすい病気の可能性があるので、医師に相談すること
・「強くぶつけた・石が跳ねた・何か刺さった」などの明らかな外傷の覚えがあるときは、眼球破裂という重大な病気の事があり、一応眼科で確認をすること

基本的には、放っておけば治る病気なので心配はいりません。
繰り返す場合には、結膜弛緩症や逆さまつ毛など、眼科の手術で出血を起こらなくすることができる場合もあり、やはり一度眼科で相談するのがよいでしょう。

忙しい病院で働く、勤務医の先生たちにかかると、「心配ない。大丈夫。」とだけ言われ、相手にされなかった。なんていう話もよく耳にします。
患者様は見た目がひどいので、とても重篤感があるのですが、見慣れている眼科医側からすると、「たいしたことないのに。」と、患者様と医師とで感じ方に、非常に差がある病気です。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

“結膜下出血” への6件の返信

  1. 今日結膜下出血で眼科受診したところ…3種類の点眼液を処方されました。
    薬は必要ないはずなのに…なんか疑問?ですね.

  2. こんばんは。ご連絡ありがとうございます。
    僕が診察・処方をされた方でしょうか??病院にはお名前のカルテがないようなので、他院様での出来事でしたでしょうか?

    出血以外に、メヤニがでるなどの結膜炎が合併している場合には薬が必要なことがあったり、
    出血してしまった原因として、ドライアイやアレルギーを疑わせる主訴があった場合にも、点眼薬が処方される場合もあるかと思います。問診表に「痒くてこすったら、出血したよう。」などの訴えがあれば、アレルギーの薬を出すこともあります。

    もし、当院での出来事でしたら、薬の必要性の説明が足りなかったものと思います。申し訳ありません。

  3. 緑内障で毎日点眼しています。
    今朝起きたら白眼が真っ赤で
    結膜下出血らしいとわかりましたが、りょくないの目薬はさして大丈夫でしょうか?

    1. 遅くなってすみません。
      結膜下出血を含めて、基本的には自己判断で緑内障点眼薬を中断するということはありません。
      出血していても、熱が39°あっても、怪我をしていても、体調が悪くても、緑内障の点眼薬は継続します。
      唯一、緑内障点眼薬にアレルギーを起こす場合(かぶれるなど)のみ中断というか中止が必要になりますが、
      薬剤アレルギーかどうかは、僕たちがみて判断します。

  4. 目の充血と、眼球に強い痛みがあり受診をしたら強膜炎と言われトラメラス、トスフロ、ブロムフェナクNeの3種類の点眼薬を処方されました。が、忘年会で飲酒したためか、眼球が出血した?というくらい真っ赤になってしまいました。様子をみるので大丈夫でしょうか?
    後、強膜炎というのはどういう病気なのでしょうか?

    1. 遅くなってすみません。もう解決済と思いますが、結膜下出血ではないでしょうか?
      数日から2週間程度で自然に縮退すると思います。
      強膜炎は主に自己免疫性に生じる疾患で、リウマチや膠原病のように自身の組織、今回は強膜にあたりますが、
      を外敵と勘違いして攻撃をしてしまう疾患です。
      ステロイドやNSAIDなど、免疫力や炎症を抑える薬を用いて、落ちかせることが治療の目標です。
      遷延や再発も多いので、自己判断で薬や通院を中断しないように気をつけて下さい。

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