加齢黄斑変性症? 検査:OCT・光干渉断層計

今日の午後は以下の手術を行いました。
・白内障手術 14件
・網膜硝子体手術 5件(茎離断4件、硝子体切除1件)
(糖尿病網膜症・硝子体出血2件、黄斑前膜2件、硝子体混濁1件)
今日はちょっと疲れましたが、みなさん無事に終わりました。

加齢黄斑変性症? 光干渉断層計
OCT(optical coherence tomography)

前回も記載しましたが、黄斑変性症のうち、特に悪性のものが滲出型黄斑変性症になります。滲出型の変性では、黄斑部の網膜に新生血管という「弱い血管」が形成され、そこから水分や血液が漏れ出して貯留します。
この新生血管からの漏れ出しを見つけるのが、前回記載した蛍光眼底造影検査ですが、造影検査以外にも滲出性の病態を評価するのに重要な検査があり、それがOCT・光干渉断層計になります。
OCTは、眼底カメラと異なり、網膜の断面図を撮影する事が出来る検査機械です。

OCTに関しては、以前に書いたブログもご参照ください。


これは、正常な方のOCT画像です。網膜は中心の黄斑の部分だけが少し凹んで、なだらかなカーブを描きます。網膜は実は1枚の膜ではなく、細かく分けると10層に分かれた構造を撮っています。よーく見ると、地層の断面図のように、直線が重なって形成されているのが分かるでしょうか?



この2つは、網膜が萎縮してしまい、黄斑部の細胞が少なくなっている例です。全体として網膜が薄くなっています。網膜の層構造も乱れて、線がグネグネ曲がっているのが分かりますか?
このような状態を非滲出型変性、または萎縮型変性と呼びます。

次は、当院で治療中の滲出型変性(悪性)の患者様たちのOCT画像です。

性状や萎縮型に比べて、網膜の厚みが厚くなっているのが分かるでしょうか?
黒く抜けて見える部分は、網膜の中に貯留した水分を示しています。滲出型の黄斑変性では、新生血管から漏れ出た出血や水分によって、網膜が厚く膨らんだ状態となります。

黄斑変性症でのOCT検査では、簡単に書くと、
・網膜が薄く、ペッタンコ⇒非滲出型・萎縮型変性。
落ち着いた病態で進行はゆっくり。治療の必要なし。

・網膜が厚く膨らんでいる⇒滲出型変性。
急に進行したり失明することも。治療を考える。

(一般の方に分かりやすい内容で記載しています。実際には、新生血管の状態など、OCT画像から様々な情報を検討します。)

蛍光眼底造影検査では、非常に稀ですが、アレルギーによってショックを起こるなどの合併症のリスクがあります。一方、OCT検査は副作用が全くないことが利点となります。また、造影検査はとても眩しくて、約10分の撮影時間がかかるのに比べて、OCTの検査は数秒で撮影ができてしまうのも利点になります。

実際の診療では、OCT画像や、造影検査、眼底の診察所見などの結果を組み合わせて、診断をしたり、治療法を考えたりしています。

今日もお読み頂き、ありがとうございました。

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