網膜中心静脈閉塞症

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
・続発性翼状片手術 1件
無事に終わっています。

今日は、60歳女性の方が入院されました。
網膜中心静脈閉塞症(もうまくちゅうしんじょうみゃくへいそくしょう)
4月19日のブログも御覧ください。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4924

血圧やコレステロール、喫煙などをリスクとして、血管がつまる病気(脳梗塞や心筋梗塞)を発症することがあります。本日の患者様も高血圧などがあり、最近、心筋梗塞の検査をされたばかりのとのことで、血管が狭くなっているようです。

網膜中心静脈閉塞症は、眼球内の網膜の血管、とくに中心部の静脈が詰まっってしまった病気です。
一回血管が詰まってしまうと、なかなか元通りにすることはできずに、レーザー治療や注射、手術などを行って、失明さえ防げれば成功。視力は0.1でも仕方ない。といった、重症度の高い病気です。


上が正常な右眼、下が病気の左眼です。
ややピンク色の細めの血管が動脈、どす黒い太めの血管が静脈です。
静脈の流れが悪く、先の方で詰まっているため、血液が渋滞して血管が太くなっています。血管の中で溢れてしまった血液が、しみだすように出血となっています。

詰まる範囲や程度、発症後の時間によって、治療法や予後に大きな違いが出るのですが、本日の患者様は、専門的には非虚血型(切迫型)と呼ばれる病態で、完全には詰まっておらず、発症からの時間も短いことが予想されました。(造影剤の検査にてかなり循環が悪いようで、今後さらに詰まってしまう可能性も否定はできませんが)

緊急入院していただき、血栓を溶かす点滴を行うことになりました。
出来るだけ元通りの目の状態に回復してくれるといいのですが。
(血栓を溶かす治療は、脳出血など命にかかわるリスクがあり、一般的には入院で行います。期待できる効果やリスクをきちんと医師と相談する必要があり、全員がこのような治療を行うわけではありません。切迫型でも造影剤の検査などで血流がまずまずよい場合には、経過を見守るだけの場合もあります。)

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

“網膜中心静脈閉塞症” への2件の返信

  1. 栗原先生にアバスチンの注射とレーザー治療をして通っています。
    血管新生緑内障で、大学教授にこれ以上の治療はないと言われ、もう諦めるしかないと思っていたのが、治療を受けてみたら視力も0.8まで回復し、心から感謝しています。
    通院時間はかかりますが、これからも栗原先生に治療をしてほしいと思っています。
    お忙しいと思いますが、この病気やアバスチンに関するブログも楽しみにしています。

  2. こんばんは。ご連絡ありがとうございます。
    糖尿病や網膜静脈閉塞症、血管新生緑内障に対して、アバスチンを連続して注射をする治療は、当院ではあたりまえのように行っているものの、現在の日本ではまだ標準治療ではありません。
    アバスチンを眼内に注射する治療は、欧米では標準治療ですが、日本では未認可なのです。他の施設で、レーザーしか治療がないと説明があったとしても、それが間違っているわけではありません。
    ただし、多くの眼科医が、もし自分が上記の病態になったら、アバスチンを使用するものと思います。
    日本でも、今年の年末には、アバスチンと同様の抗VEGF作用を持つ、ルセンティスが認可され始めるのではないかと言われています。(現在は加齢黄斑変性にのみ保険適応です)
    早く、上記疾患に対する認可が下りて、標準治療として広まる時期が来るといいのですが。ただし、保険適応といってもルセンティスの価格は非常に高いので、全員が治療を受けられるのかは難しかったり、もうしばらくはアバスチンの利用も続くのかもしれません。
    ブログの更新も少しづつ進めたいと思います。

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